静かな緊急事態(しずかなきんきゅうじたい、Silent Emergency、サイレント・イマージェンシー)は、静かに進行しているため注目が集まらない、人類が抱える飢餓や感染症等への呼称。「静かなる緊急事態」と呼ぶ場合もある。
概要
国際連合児童基金(UNICEF)は、「Loud Emergency」(ラウド・イマージェンシー、騒ぎになる緊急事態)としてのトピックにならず日常的に進行している、感染症等で多数の子供たちが死亡する事態を「Silent Emergency」(サイレント・イマージェンシー、静かな緊急事態)と呼んできた。世界保健機関(WHO)、日本赤十字社、その他団体等もこの言葉を使っている。
世界には、危険労働に従事し、薬、食料、安全な水の確保が困難な子供たちがいる。約30の国と地域で、5歳未満の子供たちが1年間で約970万人、約3秒に1人の割合で、貧困を理由として死亡している。死亡の直接的原因は、風邪や下痢による。
UNICEF事務局長キャロル・ベラミー(Executive Director Carol Bellamy)は、サハラ砂漠以南のアフリカ等の後天性免疫不全症候群(AIDS)を、大災害の何十倍という規模の「静かな緊急事態」であると指摘する。そうした地域では、多くの子供たちが親をAIDSで失っており、平均寿命が35歳未満という高い死亡率の国もある。
UNICEF広報担当官マイタル・ラスディア(Meital Rusdia)は、インド共和国のマディヤ・プラデーシュ州の状況を、子供たちが徐々に姿を消す「静かな緊急事態」であると懸念を表明する。 インド政府によると、インドでは3歳以下の46%の子供たちが栄養失調である。マディヤ・プラデーシュ州は、5年連続で雨季の降水量不足に見舞われ、60%の子供たちが栄養失調と、国内で最も危険な水準にある。
ユニセフ親善大使黒柳徹子は、1997年11月、「静かな緊急事態」にあるモーリタニア・イスラム共和国を訪れ、首都ヌアクショット、南部のアレグ、ボーゲ地方を視察している。
指標一覧
関連項目
- 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)
- セーブ・ザ・チルドレン
- ミレニアム開発目標(MDGs)
- 国連ミレニアム宣言
- サイレント津波(Silent Tsunami)
- グローバル・ヘルス
- 地球のハラペコを救え
- バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群
- アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ
- 世界がもし100人の村だったら
- 世界がもし100人の村だったら (テレビ番組)
- アクト・アゲインスト・エイズ
- 奇跡の地球
- USAフォー・アフリカ
- ウィ・アー・ザ・ワールド
脚注
その他文献
- THE STATE OF THE WORLD'S CHILDREN 1998 The Silent Emergency UNICEF公式サイト(英語)
- Malnutrition: the 'silent emergency'; UNICEF urges massive action to stem millions of preventable deaths - Africa Recovery, Vol.11#3 (February 1998) 国際連合公式サイト(英語)
- World facing "silent emergency" as billions struggle without clean water or basic sanitation, say WHO and UNICEF WHO公式サイト(英語)




