ボレアロスクス（学名：Bolealosuchus）は、後期白亜紀から古第三紀始新世まで北アメリカ大陸に生息していた、絶滅したワニ目の属。頭骨の形状はクロコダイル上科に似る。中型のワニであり、B. acutidentatus の全長は最大で2.8メートル、頭骨の幅は36センチメートルであった。
発見と命名
1997年に、それまでレイディオスクスに分類されていた複数の種をクリス・ブロチュが新属のボレアロスクス属として命名した。ボレアロスクス属には以下の種が属する。
- B. sternbergii - タイプ種。コロラド州・モンタナ州・ノースダコタ州・サウスダコタ州・ワイオミング州のマーストリヒチアン階から産出。
- B. acutidentatus - サスカチュワン州の暁新統から産出。
- B. formidabilis - ノースダコタ州の暁新統から産出。
- B. griffithi - アルバータ州の暁新統から産出。
- B. threeensis - ニュージャージー州グロスター郡のマーストリヒチアン階 - 暁新統から産出。
- B. wilsoni - ワイオミング州の始新統から産出。
特に B. formidabilis が良く知られている。本種はノースダコタ州のワナガンクリークサイトから数多くの個体の化石が産出している。B. threeensisの種小名はタイプ産地の近くに位置する道路のニュージャージー・ターンパイクの第3出口にちなむ。論文の著者らは、「ニュージャージーから来たのか？どの出口から？」という、ニュージャージー州の住民であれば誰でも旅行中に問われる質問に対しての答えを反映している、と主張している。
分類
Brochu et al. (2012) によると、大半の系統解析でボレアロスクスはブレヴィロストレス類よりもインドガビアル上科に近縁とされており、少数の解析ではインドガビアル上科により近縁とするものや、あるいはワニ目に属さない基盤的な正鰐類とするものもある。Brochu et al. (2012) 自体での解析によると、これら3仮説は等しく最節約的であった。
以下は Brochu et al. (2012) に基づいてボレアロスクスの種の系統関係を示すクラドグラム。
なお、2003年に発表されたDNAシークエンシングを用いた分子系統解析で、クロコダイル上科とインドガビアル上科がアリゲーター上科よりも互いに近縁であることが判明しており、ブレヴィロストレス類は同研究で否定されている。詳細はブレヴィロストレス類を参照。
出典
